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KAISEIブログ - 校長よりカテゴリのエントリ

新年のご挨拶

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校長より
 
2016/1/1 7:00
あけましておめでとうございます。

元旦の松江の日の出は、7時17分です。この時間に先駆けて掲載させていただきます。

昨年も、このホームページをご覧いただき、ありがとうございました。本年も、このホームページ上で本校の情報をできる限りタイムリーに発信しますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、本校の「建学の精神(教育理念)」は、「品性の向上をはかり社会の発展に役立つ有望な人材を育成する」ですが、この価値は年々高まってきていると感じております。そして、同時にこの「建学の精神」を大切にして、近未来社会のために、よりよい人間の育成に努めていかなければいけない責務も感じております。

文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定も4年目を迎えます。SSHとして掲げている本校の研究開発課題「道徳観を備えた科学系人材を育成する中高一貫教育課程の開発」を科学(S)、道徳性(M)、国際性(I)、リテラシー(L)、先進性(E)を融合する「SMILEプログラム」を通してさらに推進して参ります。

また、本年は、リオネジャネイロ・オリンピックの年でありますが、島根県でインターハイ(全国高校総合体育大会)が開催されます。これに代表されるように、本校生徒が活躍する舞台が、本年もスポーツ、文化、学術など、いろいろな分野であると思います。そうした活動の情報も発信し続けますので、どうぞお楽しみにしてください。

平成28(2016)年元旦

学校法人 大多和学園
開星中学・高等学校
理事長・校長 大多和聡宏
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※本日の「ニュース&トピックス」にも同じ記事を掲載しています。


モラロジー教育No.140(編集・発行 公益財団法人モラロジー研究所)に寄稿した文章を掲載します。

本校の教育の基盤となる「道徳教育」の実践について、新たな学力観「つくる力・つながる力・もちこたえる力」を育む教育を通してご紹介します。

※画像をクリックするとPDFがダウンロードできます。
※また画像の下に全文を掲載しています。




品性を基盤とした「学力」の育成
学校法人大多和学園 開星中学校・高等学校 理事長・校長 大多和聡宏

 本学園は、大正十三(一九二四)年に「松江ミシン裁縫女学院」として開校しました。まだ和裁が中心だった時代に、洋裁を教えるという先を見て先に行う教育(先見教育・先行教育)と、女性の社会参加が珍しい時代に、家庭人としてはもちろん、一人の人間としての品性を磨く道徳教育を二本柱として、本学園はスタートしました。

 大正、昭和、平成と歴史の変選の中で存続発展してこられたのは、「建学の精神」を大切にしてきたからだと思います。女子校から共学校へ、家庭科中心の教育課程から普通科の教育課程へ変容を遂げ、今日を迎えていますが、この九十一年間、本学園の教育理念は不変です。

 冒頭述べましたように「先見教育・先行教育」を大切にしています。そのためには、物事の本質や時代の流れを読み、不易と流行(変わらないものと変わるもの)を見極める必要があります。

 最近の中央教育審議会(中教審)の諮問や答申を参考に、これからの時代を考えてみます。まず、昨年(平成二十六年)十一月、中教審に小中高校の学習指導要領の改訂が諮問されました。通常より一年前倒しの諮問です。そして、従来は、学習内容の見直しが中心ですが、今回は、指導方法にまで踏み込む内容になっています。一方、昨年十二月には中教審の二つの答申が出ました。その一つは、高校教育、大学教育、そして大学入試、この三つを一体的に改革するためのものです。

 答申の冒頭で、次のように書かれています。「世の中の流れは大人が予想するよりもはるかに早く、将来は職業の在り方も様変わりしている可能性が高い。そうした変化の中で、これまでと同じ教育を続けているだけでは、これからの時代に通用する子供たちに育むことはできない」と述べられており、かなりの大胆な表現になっています。

 ここで、「将来は職業の在り方も様変わりしている可能性が高い」という根拠として、キャシー・デビッドソン氏(アメリカの大学教授)の予測、すなわち、2011年に小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業後、今は存在していない職業に就くだろうという予測を引用しています。

 この予測は、アメリカに限らず、世界各地で披紋を呼びました。実際に現在の日本でも、企業がイノベーションするたびに、業態の変化によって新しい職業が生まれ、既存の専門職を置き換えています。

 一方、現在の教育は、十九世紀末から基本的構造は変わっていません。大学で専門家を養成することを頂点として、必要な知識や技能を小学校から段階的に積み上げていくという仕組みです。しかし、職業が安定したものでなくなれば、教育のシステムも大きな変化を迫られることになります。前述の答申は、まさにこの問題意識がベースになっていると思います。

 現在、国内外のさまざまな団体が二十一世紀に生きていく子供たちに必要な一般的能力を整理し、「二十一世紀型スキル」と呼ばれるものを定義しています。これらは、今は存在しない職業に適した教育とは、どういう能力を育成すべきかを検討したものです。

 本校では、こうした「二十一世紀型スキル」を参考し、また本校の「建学の精神」である「品性の向上を図り、社会の発展に役立つ有望な人材を育成する」という教育理念の今日的位置づけを明確にするために、昨年、本校が育成する「学力」を定義しました。

 建学の精神に掲げている「品性の向上を図る」とは、道徳性を重視し、『よりよく生きる力』という人間力を育成することです。また、同じく建学の精神に掲げている「社会の発展に役立つ有望な人材」とは、現代社会における諸課題を発見し、その解決に至る道筋を考え、自ら行動できる能力を身に付けた人材と考えます。『よりよく生きる力』を育成することは、こうした現代社会に求められている能力をもった人材の輩出にも結びつきます。

 本校では、モラロジーの教育観を基本に置き、次のような考え方をしています。品性とは善を生む根本的な能力であり、知情意をはじめ、その他の諸能力に働きかけ、私たちの『よりよく生きる力』を発揮させます。その第一は『つくる力』、すなわち創造力です。私たちに与えられた能力をよく生かし、日々の仕事に励んだり、課題を解決する意思や知恵を生み、人生を開拓する力です。

 第二は『つながる力』、すなわち共生力です。自然や神仏など人聞をこえた存在と心をつなげる力、人を思いやり、助ける力、人と親密に交わる力、人と協力して集団の力を発揮させる力も品性によって与えられます。

 第三は『もちこたえる力』、すなわち忍耐力です。私たちは、人生の途上でさまざまな出来事に出あい、いろいろな困難や危機を経験します。そうした課題や危機に直面して、粘り強く対応しながら、もてる力を十分に発揮させる根本が品性です。

 そこで、本校が育成する「学力」を定義する際も、『よりよく生きる力』を構成する三つの力、『つくる力(創造力)』『つながる力(共生力)』『もちこたえる力(忍耐力』に基づいて定めました。

 『つくる力(創造力)』の育成とは、物事を思考する際に、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングといった深い洞察性を持つと共に、考えたことを実行に移す決断力を兼ね備えるように育てることです。

 『つながる力(共生力)』の育成とは、対等な立場で、誰とでも話し合ったり、協力して働くことができるための言語力やプレゼンテーション能力を持って、リーダーシップが発揮できるように育てることです。

 『もちこたえる力(忍耐力)』の育成とは、規律性を核とする自己管理能力であり、計画性のある学習をすると共に、失敗も含め、経験を反復することによって環境に適応した行動を習得できるように育てることです。

 本校は、平成二十五年度より文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けています。その研究開発課題は、「道徳観を備えた科学系人材を育成する中高一貫教育課程の開発」です。現在、SSHの指定校は全国で二百校余りありますが、研究開発課題に「道徳」を掲げているのは、本校のみです。知育と徳育の融合は、「言うは易し、行うは難し」ですが、試行錯誤しながら取り組んでいるところです。

 日本の将来を考えた時、国際的に活躍しうる科学系人材の育成は喫緊の課題ですが、同時に高い志や公共心をもった若者を輩出することも、極めて重要であると考えます。その際、道徳教育を基盤として人格(人間性)を高めることが、人材育成の要諦であることをより多くの関係者に理解していただけるように、本学園のSSHをはじめとする教育実践をさらに推進していきます。
【モラロジー教育No.140(編集・発行 公益財団法人モラロジー研究所)より】
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「校長式辞」 開星卒業式より

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校長より
 
2015/3/9 7:00
3月1日(日)開星高等学校の卒業式が挙行されました。

「校長式辞」の中で、校長先生から卒業生へ『気概(きがい)』という言葉が贈られました。
その「校長式辞」の全文をご紹介いたします。

今日から弥生3月です。天地自然の営みが、風光る春の訪れを少しずつもたらしてくれています。

そうした今日のよき日、ご来賓の皆様、そして、卒業生の保護者の皆様のご臨席をいただき、「平成26年度 開星高等学校 卒業証書授与式」が挙行できますことは、私ども本校職員にとりまして、誠に喜びとするところでございます。本校を代表いたしまして、深く感謝申し上げます。
さて、3年生の皆さん、卒業おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。

この式の最初にも「天籟の鐘」が鳴り、それを聴きながら黙想しましたが、皆さんは、この3年間、あるいは6年間、この「天籟の鐘」と共に学校生活を送ってきました。「天籟」とは、改めて言うまでもないと思いますが、「天地自然の響き」という意味です。「天地自然の響き」とは、季節の移り変わりなど、天地自然の営み、あるいは法則によるものです。

SBIホールディングスという会社を知っているでしょうか。総従業員数5000人をこえるインターネット総合金融グループですが、この会社の社長を務める北尾吉孝氏は、「古代の中国人は、天地自然を観察する中で、そこに法則を発見した。それが干支である」とおしゃっています。そして、「干支は、古代からの知恵の集積であり、決して干支占いというような単純なものではない。その知恵に歴史的事実を照らし合わせてみると、普遍的な妥当性が見出せる」ともおしゃっています。ちなみに、北尾社長は、2000年以降、会社の年賀式で、干支をもとに、その年の予想と決意を語られています。

さて、皆さんが卒業する今年の干支は、「乙(いつ)未(び)」、「きのと・ひつじ」です。干支の仕組みは、3学期の始業式でも話しましたので、ここでは繰り返しませんが、北尾氏によれば、この「乙(いつ)未(び)」、「きのと・ひつじ」という年は、新しい改革や創造を進めようとされるが、いろいろな抵抗があり、気概がないと、その改革は進まない年ということです。

これから新たな進路を歩んでいく卒業生の皆さんにも、気概を持って生きていくことが求められると思います。「気概」とは、困難にもくじけない盛んな意欲や気力です。皆さんに、「これぞ気概のある人だ」と実感してもらうために、一人の先人を紹介します。

その人の名は、伊東マンショ。日本史で学んだと思いますが、決して有名な人物とは言えないかもしれません。しかし、彼の生き様は、後世の私たちに偉大な教えを残してくれています。

伊東マンショは、16世紀の後半、日向の国、今の宮崎県に武士の子として生まれました。幼名は、「虎千代」と名づけられました。時は、戦国時代、織田信長が天下統一に向けて勢いを伸ばしていた頃です。一方、「大航海時代」と呼ばれていて、ヨーロッパ人が7つの海を支配し、アジアへも進出するようになっていました。

九州では、薩摩の島津氏と豊後の大友氏が2大勢力で、日向はその間に挟まれて、伊東家は過酷な生活を送っていました。まだ10歳にならない頃の虎千代は、布教のためにヨーロッパから来ていたイエズス会の宣教師と出逢います。親しく交流を重ねていくうちに、「家族で貧しいながらも新しい生活を始めたい」という虎千代の希望と、「人は神の前で等しく生まれ、貧しい人にも慈愛を」というキリストの教えが響き合い、キリスト教の洗礼を受け、「マンショ」というクリスチャン・ネームが授けられました。

当時、イエズス会は、日本での布教活動を推進するため、日本人宣教師の養成を考え、そのための施設を作りました。マンショは、その中の一つ、長崎県の有馬にあるセミナリヨに入れられ、キリスト教を学びました。イエズス会は。織田信長から日本でキリスト教を布教できる約束は取り付けたものの、資金不足に喘いでいました。カトリックの総本山であるヴァチカンに何度も資金送付の依頼状を出しても反応がありません。ローマ教皇をはじめ、カトリック本部の人たちは、アジアはあまりにも遠く、日本や日本人に対する理解が足りませんでした。

日本にいる宣教師たちは、「ならばヴァチカンの人々にも日本人に接してもらい、日本の高度な文化や文明に対する理解を深めてもらおう」と考えました。キリシタン大名の協力も得て計画されたのが、「天正遣欧使節」です。その4人のメンバーの中心が、伊東マンショです。彼を含め、いずれも13、14歳の少年たちでした。

長崎の港を、帆に風をはらませて進む小さな船で出港したのが、天正10年、1582年の2月です。途中、マカオでは季節風が吹き始めるのを10ヵ月待ったりしながら、東シナ海、南シナ海、インド洋、そして大西洋を通って、天正12年、1584年の8月、ポルトガルの首都、リスボンに到着しました。実に、2年半、約900日もの長い時間をかけて、ヨーロッパにたどり着きました。その間、赤道直下の灼熱の太陽、大嵐、熱病、飢餓など、幾多の試練を乗り越えての快挙です。

マンショたちがリスボンの港にたどり着いた時、遠くアジアからの使節団にたくさんの祝砲が轟きました。彼らの登場は、当時のヨーロッパ人にとって衝撃的でした。なぜなら、初めて日本人を目の前にする機会だったからです。日本人の小柄な体格、髪の毛や目の色、顔のつくりや雰囲気、着物姿など、すべてが興味深いものでありました。彼らの姿を描いた絵画は、400年以上たった今日でも大切に保存されています。

マンショたちは、クリスチャンの洗礼を受けていましたが、同時に誇り高き侍の子弟でした。彼らには、10代という年齢にも関わらず、日本と日本人がルーツとして、しっかり刻みこまれていました。ヨーロッパ人に対して、自分の国、日本のことを誇りと自信を持って説明しています。マンショたちこそ、歴史上、日本最初のヨーロッパ大使です。

ヨーロッパ滞在が3ヵ月を越えようとした頃、重要な行事がありました。当時世界最強国であったスペインとポルトガルの国王を兼ねていたフェリペ2世との謁見です。今も昔も、国王、日本で言えば、天皇陛下が、通常お会いになる外国人は、国賓に限られています。未知の国の少年たちに対して破格の扱いがなされました。

さらに、イタリアを訪問し、当初の目的であったヴァチカンでローマ教皇、グレゴリオ13世との謁見に臨みました。時は、1585年の3月、今からちょうど430年前です。一般のカトリック教徒にとって、教皇はトップ中のトップであり、近寄れる存在ではありません。そうした夢の舞台で、マンショたちは、思慮深い話し方や優雅で慎み深いふるまいをしました。そうした言動に直に接し、教皇をはじめヴァチカンの人たちは大いに感心しました。その結果、カトリック本部は、日本での活動に対し、毎年の寄付や援助を約束しました。そして、約1年10ヵ月に及ぶマンショたちのヨーロッパ滞在は、各地で日本という注目すべき国がアジアにあることを知られるようになりました。

今から400年以上も前、10代の日本の若者たちが、はるかかなたのヨーロッパをめざし、苦難の末、たどり着き、ヨーロッパ各地でヨーロッパ人が感動する振る舞いをしました。日本という島国に生まれながら、そこに留まらず、気概を持って大海原の向こうに目を向け、まだ見ぬ世界を求めて歩んでいった先人の偉業に、私たちは大いに学ばなければいけないと思います。

コロンブスの大陸発見やマゼランの世界一周も偉業ですが、彼らは大人の航海士として、国王の依頼を受け、巨額な資金援助によって成し得たものです。マンショたちの純真さや使命感を考えると、これこそ全人類的な偉業であると言えます。

卒業生の皆さん、これからの人生、気概を大事にして歩んでください。卒業生の皆さんが、困難にくじけない強い意欲や気力を持って、本校の校名「開星」の由来の如く、社会の発展に役立つ有望な人材に成長されることを祈念して、私の式辞を終ります。
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新年のご挨拶

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校長より
 
2015/1/1 7:20
あけましておめでとうございます。

元旦の松江の日の出は、7時17分です。この時間に合わせて掲載させていただきます。

昨年も、このホームページをご覧いただき、ありがとうございました。昨年は、本校創立90周年という節目の年でした。次は、大きな節目となる創立100周年です。それに向けて、今後とも、建学の精神である「品性の向上をはかり社会の発展に役立つ有望な人材を育成する」という教育理念を大切にして、よりよい人間の育成に努めて参ります。

文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定され、3年目を迎えます。中間評価の年でもあります。SSHとして掲げている本校の研究開発課題「道徳観を備えた科学系人材を育成する中高一貫教育課程の開発」を科学(S)、道徳性(M)、国際性(I)、リテラシー(L)、先進性(E)を融合する「SMILEプログラム」を通してさらに推進して参ります。

昨年末、文部科学省では、中教審に学習指導要領の改訂が諮問されました。一方、中教審より高大接続や大学入試の改革に関する答申が出されました。学校教育を取り巻く環境は、大きく変わろうとしています。そうした中で、本校の取り組みが、わが国の中等教育の発展に少しでも貢献したいと考えております。

本年も、このホームページ上で本校の情報をできる限りタイムリーに発信しますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

平成27(2015)年元旦

学校法人 大多和学園
開星中学・高等学校
理事長・校長 大多和聡宏
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校長式辞 開星高等学校卒業式

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校長より
 
2014/3/6 7:00
3月1日(土)、開星高等学校の卒業式が挙行されました。

「校長式辞」の中で、校長先生から卒業生に〈勇気(ゆうき)〜善いことを率先して〜〉という言葉が贈られました。

その「校長式辞」をご紹介いたします。



今日から弥生3月です。天地自然の営みが、風光る春の訪れを少しずつもたらしてくれています。

そうした今日のよき日、ご来賓の皆様、そして、卒業生の保護者の皆様のご臨席をいただき、「平成25年度 開星高等学校 卒業証書授与式」が挙行できますことは、私ども本校職員にとりまして、誠に喜びとするところであります。本校を代表いたしまして、深く感謝申し上げます。

さて、3年生の皆さん、卒業おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。

皆さんが高校を卒業する今年、2014年は、19年に1度の年であることを知っていたでしょうか。今年の元日は新月、月が見えなくなる日でした。今年2回目の新月は1月31日。そして、今日、3月1日が3回目となり、次は3月31日です。国立天文台によると、「ひと月に2度の新月が2回ある年」というのは珍しく、19年に1度しか巡ってこないそうです。前回が1995年、卒業生の皆さんが生まれた頃です。そして、次が2033年、卒業文集「20年後のわたし」に皆さんが自分の未来を予想して書いた頃となります。

新月に関する話題を紹介しましたが、「新月の日に願い事をすると叶う」という言い伝えがあります。これは事実かどうかわかりませんが、「開星ドリカム・プラン」に取り組んできた皆さんの夢や目標が実現することを、私はこれからも祈り続けてまいります。

本校を卒業される皆さんですが、これからも夢や目標を大切にして人生を歩んでいかれることを期待し、その参考として、私はある勇気ある行動について紹介します。

1ヵ月あまり前になりますが、私は1泊2日で沖縄に行ってきました。目的は、「平和活動家」と称している人たちが汚した米軍基地の周辺を掃除するという活動を続けている「フェンス・クリーン・プロジェクト」に参加するためでした。初日は辺野古で、2日目は普天間で掃除をしました。

沖縄では、「平和活動家」を名乗る人たちが、覆面・マスクやサングラス姿で、連日米軍基地のフェンスに色とりどりのガムテープや紐などを括りつけ、ガムテープの芯などゴミは、フェンスの内側に投げ捨てています。また、出入りする米軍関係者に「海兵隊は出て行け」とか「基地はいらない」といった罵声を浴びせるといった行為を繰り返しています。

彼らが我がもの顔でガムテープや紐を巻きつけている場所は、自分の土地ではありません。他人の土地です。汚い言葉で罵倒する相手は、米軍兵士だけではありません。その家族や幼い子供であっても、基地に出入りする人間であれば、日本人も含め見境ありません。

ここまでくると、犯罪ではないかと思えますが、「反戦」、「反基地」、「反米」を掲げる彼らの行動に、警察は手を出せないでいます。また、多くのマスメディアも見て見ぬふりで、ほとんど報道されません。また、東日本大震災の救援活動に、普天間基地に所属するアメリカ海兵隊の多大な貢献があったことを評価することが、沖縄ではタブーになっているそうです。

そのような状況の中、一昨年の9月、「こんな平和運動はおかしい」と感じた人たちが立ち上がり、米軍フェンスに張られたガムテープや紐などをはぎ始めたことから、「フェンス・クリーン・プロジェクト」はスタートしました。リーダーの手登根安則さんは長年のPTA活動を経て、沖縄の教育問題、特に平和教育を検証する活動を始められた方で「反戦を叫んで街を汚す行為を放置しておけない」という強い思いで取り組まれ、その活動の輪は若者を中心に広がっています。

また、罵声を浴びせる活動のすぐ横で、米軍への友好や感謝を表す横断幕を掲げ、笑顔で挨拶をする「ハート・クリーン・プロジェクト」も週1回のペースで継続されています。こうした活動を続けるうちに、米軍の中から、フェンス周辺の掃除に参加したり、挨拶活動に対して、わざわざ車から降りて握手を求める兵士も現れ始めたそうです。

こうした状況について、私は、昨年本土から現地に行かれた方のお話や一部の新聞報道で知っていましたが、実際に参加してみて、およそ平和とは正反対の活動をしている人の姿を直接目にして、沖縄の平和運動に対してかねてから抱いていた疑問が、確信に近いものに変わりました。

戦争のない世界を願う思いは、私も同じです。卒業生の皆さんをはじめ、ここにいる皆様もそうでしょう。本当に無くてすむなら、基地も軍隊もない方がよいと思います。しかし、現実の国際情勢を見れば、軍備なくして日本を守れないことは、良識のある人であれば誰でも理解できることだと思います。一方、沖縄では、いわゆる「反戦」がビジネスとなり、米軍に反対しているものの、本当に無くなってしまったら困る人もかなりいるそうです。

今回、私が沖縄に行ったきっかけは、認定NPO法人「日本を美しくする会」の有志の方からのお誘いでした。この会は、20年前に発足以来、全国各地の学校を訪問し、トイレ掃除を中心に学校をきれいにする活動に取り組まれています。そこから得られた経験則として、トイレの汚い学校は、生徒の心も荒んでいるそうです。同様に、街の公園のトイレが汚れている地域は、風紀も悪いそうです。このような経験から、「平和活動家」と称する人たちが汚したフェンスをそのままにしておけば、やがては街全体が汚れ、住む人々の心も荒むという危機感があり、この勇気ある活動を支援されています。

沖縄の平和運動を先導している人は、米軍基地周辺を汚すことを正義と考えているそうです。なぜなら、「基地は、粗大ごみ以外何物でもない」とみなしているからです。ところで、この「フェンス・クリーン・プロジェクト」を支援されて中心人物が、先ほど紹介した「日本を美しくする会」の相談役である鍵山秀三郎氏です。「イエローハット」の創業者と言った方がわかりやすいかもしれません。この鍵山秀三郎氏は、「いかなる理由があろうと、街を汚す行為に正義はない」とおしゃっています。

沖縄の複雑な状況下で、街を汚す反戦活動に対して問題提起をすることは、本当に勇気がいることだと思います。また、それを支援することも勇気がいるでしょう。今回私と一緒に参加した人の中には、ご家族から「無事で帰ってきてね」と言って送り出された方もいらっしゃいました。

今年卒業する皆さんは、東日本大震災の直後に高校に入学されました。東日本大震災の後、日本人が忘れかけていた伝統的な価値観を大切にしようとする動きが出てきた中で、皆さんは高校生活を送られました。

日本人が忘れかけていた大切な価値観の一つに、善いことを率先して行う勇気があると思います。東北各地での勇気ある行動を見聞きして、感動した経験が皆さんにもあると思います。沖縄では、基地問題に関して、勇気をもって「善いこと」あるいは「正しいこと」に取り組むには、いろいろな障害があるようです。そうした中でも、勇気をもって行動する人が出てきました。

最高道徳の格言に「率先善を認め勇を鼓してこれを貫く」というものがあります。率先して善いことをすることに価値を認め、勇気をしっかり持って、善いことを行うことが大切であるという教えです。

卒業生の皆さん、これからの人生、「善いことをしよう」、「正しいことをしよう」という使命感を抱いて歩んでください。「使命」とは、「命を使う」と書きますが、使命を果たすには、勇気が必要です。卒業生の皆さんが、自ら勇気を持って人生を切り開き、「開星」の校名の由来の如く、社会の発展に役立つ有望な人材に成長されることを祈念して、私の式辞を終ります。
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